kyanonsanのブログ

若手会計士として日々の中で学んだこと等を記録するためのブログ

経営財務No3436 2019.12.9号 メモ

【目次】

・子法人の欠損金利用緩和の可能性も グループ通算制度導入で想定される実務への影響

・IFRS16号「リース」の影響

・経営財務創刊70周年記念セミナー「会計基準改正とデジタル技術への対応を語る」

・時事談論「そんな監査人なら変えちゃえば?」

 

子法人の欠損金利用緩和の可能性も グループ通算制度導入で想定される実務への影響

 2020年度税制改正のテーマの一つが、連結納税制度の見直し。同制度に変わり、グループ通算制度の導入が検討されている。具体的には、完全支配関係にあるグループ企業間の損益通算は可能としつつ、各法人を納税主体とする個別申告方式とすることで、事務負担軽減を図るなど。同制度の導入に伴い、税効果会計に係る会計基準の適用指針等の改廃が見込まれる。

⇨時期や経済環境にも左右されていると思いますが、甘利会長が就任してから、自民党税制調査会に関する記事・注目度が増してきている気がします。個人的なところでは、修了考査以来税務知識のアップデートが弱くなっているので、今回の改正を機に関連基準のおさらいをしていきたいですね。この辺りは、今の実務だけじゃなく、将来にもつながりそうなので。

 

IFRS16号「リース」の影響

 2019年度から適用されたIFRS16号では、従来オペレーティング・リース(以下、OL)に分類されていたリースを含め、原則すべてのリースをオンバランスする。

 実務上のポイントとしては、注記対象外であったOL(解約可能OL等)のオンバランスに加え、リース期間の延長・解約オプションの影響を考慮することが挙げられる。したがって、従来のOL注記に記載されていた金額には延長オプション等が考慮されていなかったため、単純に従前の注記金額を足し合わせた金額が使用権資産計上額とマッチするわけではない。資産計上額算定にあたっては特に、解約オプションの行使・非行使が「合理的に確実」な期間を判断することが難しい論点となる。

 日本基準への導入にあたってはOL計上が注目されているが、実際にIFRS16号を適用している会社をみるとリース期間による影響も無視できないほど大きいことが分かる。

⇨OL計上だけに注目していましたが、解約オプションの行使をともなうリース期間という論点がここまで大きいとは思い寄らなかったです。

 

経営財務創刊70周年記念セミナー「会計基準改正とデジタル技術への対応を語る」

 税務研究会主催のイベント「ZEIKEN BRIDGE 2019」におけるパネルディスカッションのレポート。パネリストとして、日本CFO協会主任研究委員で公認会計士の中田氏、アズビル株式会社・山崎氏、王子マネジメントオフィス株式会社・西氏、日清食品ホールディングス株式会社・大島氏、富士通株式会社・坂口氏、三井住友海上火災保険株式会社・藤澤氏、楽天株式会社・國井氏が登壇。メインテーマは、収益認識基準(IFRS15含む)の導入、リース会計(IFRS16号)の導入、重要性の判断基準について。

⇨詳細な中身は割愛しますが、特に収益認識基準の導入にあたって、結論は変わらなくても、そこに至るまでの現場実務の洗い出しや、監査人に対する証明のプロセスに苦労されている点が印象的でした。私個人のイメージですが、登壇された方々が所属されている企業は、いわゆる大企業で、バックオフィスの能力・リソースも豊富なのだと思います。そういった会社であるからこそ、基準適用に正面から取り組んだ故の苦労もあったのだろうと思慮します。会計士として、このような会社実務担当者の立場まで踏まえた上で、あるべき処理を示していけるようになりたいと思った次第です。総じて、こういった会社側の実務に触れる機会が少ないので興味深く面白かったです。

 

時事談論「そんな監査人なら変えちゃえば?」】

 とある経営者が、上場にあたってお世話になった会計士への感謝と、監査法人交代を決意し、後任を見つけるまでに考えたことを振り返ったコラム。言及されていたのは、会社に興味を持ち、監査の知識と経験を持ち、技術的にも人間的にも共に精進していける監査人を探していたこと。また、監査人の手続が前年から細かくなったことに対して、単に「マニュアルが変わったから」ではなく、その手続が必要となった背景まできちんと説明してくれれば、会社としても変化の必要性に納得が持てるとのこと。会社も会計士のことをよくみているのだなと感じ、改めて身が引き締まるような思いがしました。