kyanonsanのブログ

若手会計士として日々の中で学んだこと等を記録するためのブログ

経営財務No.3438 2019.12.23号 メモ

 【目次】

・海外会計トピックス ◆Big4がBig2になる?

監査法人のローテーション制度について

・時事談論 「補習所なんていらない」

 

【海外会計トピックス ◆Big4がBig2になる?】

 世界の会計事務所のうち、その規模から上位4事務所はBig4と呼ばれている。近年、これらの業績は順調である。

 トップを走っているのはDeloitte、次いでPwC。その他の2社、EY・KPMGも収益は増加しているが、上位2社から引き離されつつある。仮に、PwCが現状の成長率を維持した場合、向こう数年でBig4最下位であるKPMGの倍ほどの規模の大きさとなる計算になる。

 こうした状況や、将来への投資等も踏まえて、EY・KPMGは2019年のパートナーの報酬を2018年より以下のように引き下げている。

*EY:69万3千ポンド(約1億100万円)⇒67万9千ポンド(9,900万円)、▽2.1%減

*KPMG:69万ポンド(約1億円)⇒64万ポンド(9,300万円)、▽7.8%減

なお、Deloitte及びPwCのパートナーの平均報酬は、それぞれ88万2千ポンド(約1億2,900万円)、76万5千ポンド(1億1,200万円)。

⇒英国で会計スキャンダルが続いたことから逆風が吹くなどもしていますが、会計事務所業界はグローバルで見れば好調な業績のようです。にしても、パートナーの給与高いですねぇ。日本のパートナーだけで見れば違った状況なのでしょうが。。

 

監査法人のローテーション制度について】

 2019年10月25日に金融庁が公表した「監査法人のローテーション制度に関する調査報告(第二次報告)」について、議論の経緯を振り返るとともに、第二次報告のポイントを説明したもの。筆者は金融庁企画市場局企業開示課課長補佐高橋敦子氏。

 

*これまでの議論の経緯

 第一次報告では、①パートナーローテーションの有効性、②上場企業における同一監査法人との監査契約固定化の状況、③欧州における監査法人ローテーション制度の導入、についての調査結果を示した。それぞれの調査結果ポイントは以下の通り。

①過去の不正会計事案を振り返ると、結果的にパートナーローテーション制度は導入時に期待された効果を十分に発揮していなかった。

②上場企業における自主的な監査法人の交代は進んでいない。

③欧州で2016年から監査法人のローテーション制度が開始され、その効果についてはなお見極めを要するものの、制度導入による混乱はこれまでのところ見られていない。

 

*第二次報告の概要

 第二次報告の概要は大きく①パートナーローテーション等の実態調査、②監査法人の交代に関する実態調査、③海外の議論の動向、という構成。

①パートナーローテーションの実態調査結果

 第二次報告では、大手監査法人に対して、パートナーローテーション等の運用実態に関し、アンケート及びヒアリングによる調査を実施。調査の結果、いずれの監査法人公認会計士法のパートナーローテーションを遵守するようにシステム整備等の対応がとられていることが確認された。一方で、10年以上職員(監査補助者)として関与していた者が、引き続き業務執行社員に就任していた事例など、全体としてみれば相当な長期間にわたって同一企業の監査へ関与があった事例が特に事業規模の大きい監査クライアントにおいて見受けられた。

監査法人の交代に関する実態調査

 2013年以降、監査法人の交代があった企業の数は高い水準で推移しており、特に東芝事案後の2016年頃からは、それ以前が100件前後であったのに対して、130件前後で推移するようになっている。交代理由としては、グループ再編や会社規模の変化への対応と、監査法人からの監査報酬値上げ要請が契機となったものに分かれた。

③海外の議論の動向

 欧州議会経済金融委員会や英国の競争・市場庁によって取りまとめられた調査報告書が紹介された。特に英国においては、監査法人に対して監査部門と非監査部門の分離を求めるなどといった踏み込んだ内容が提案された。

 

⇒1月15日付の日経新聞で報道された通り、日本においては監査法人のローテーションが見送られました。一方で、監査補助者からパートナーに昇格し、特定の監査クライアントに関与し続けている実態については、制限を設ける改定が具体化されそうですね。

↓監査補助者のローテーション議論についての経営財務紹介記事と日経の報道。

 

【時事談論 「補習所なんていらない」】

 補習所が監査法人勤務者を受講者の前提として運用されている点、実務経験に基づいた、あるいは実務を模したような授業形式ではなく、基準・法律の座学中心である点(ペーパーワークの受験生であることを強いている点)、税理士登録する際に、研修・試験機会を別途設ければ税理士会への配慮が可能である点などを挙げて、現行の補習所運営に懐疑的な見方を呈している。

⇒補習所の考査・グループワークを経験してきた身としては、これらが契機となって勉強・基準への立ち返り・ほかの人の意見・経験の共有をしてきた側面もあるので、補習所に一定の意義があるのかなと感じています(まじめ)。ただ、指摘の通り、監査法人以外の勤務者にとっては参加が難しい日程が組まれたり、基準の丸暗記に終始することが必要な考査問題が出題されたりしていたとも感じるため、それなら相当なコストと時間をかけるのはいっそやめてしまえと思ったり。。CPE制度もあることですし、補習所が終わった後(修了考査後)の会計士人生の時間のほうが長く、基準・実務は絶えず変化する点も考えれば、何も最初の3年だけ特別に擬似学校を設けなくても。。ねぇ。。