経営財務No3437 2019.12.16号 メモ
【目次】
・残高確認手続の集約拠点が開所
・現行の制度開示への取り組みと一体開示についてーアンケート集計結果・傾向分析
2019年11月7日から12月5日にかけて、自民党が金融調査会・企業会計に関する小委員会の合同会議を開催。主な議題は、金融庁の「監査法人のローテーション制度に関す調査報告(第二次報告)」を踏まえた監査チームメンバーのローテーションに関する新規ルールの検討。
金融庁による調査報告では、パートナーローテーションは遵守されていた一方で、パートナー以外のチームメンバーで長期間従事していたものが引き続きパートナーに就任した事例が一部で確認された。これを受けた公認会計士協会会長声明では、「社会的影響度が特に高い会社の監査」にあたっては、独立性規定の趣旨を十分に理解した上での本規定の確実な遵守を各監査法人・監査従事者に改めて求めていた。
今回の小委員会での議論においては、「社会的影響度が特に高い会社の監査」に関して、その対象と「なれ合いが生じる恐れのある長期の関与」の年数を明確化する案が話し合われた。具体的に上がった案は、「時価総額おおむね5,000億円以上の会社で、関与年数を10年まで」とするもの。
→私が働いている法人でも、大規模な会社のチームになればなるほどメンバーが固定されていて、長期関与者が多い印象です。やはり、規模が大きくなればなるほど、会社理解にかかる時間や、クライアントとのリレーション構築、チームにおける諸々のルールの把握・運用に時間がかかり、どうしても長期関与者が求められるのでしょうね。監査法人ローテーション(導入されるかはさておき)なども踏まえると、「誰がやっても問題が無い」環境づくりをより意識していかないといけないのかもしれませんね。
【残高確認手続の集約拠点が開所】
大手4監査法人が設立した「会計監査確認センター」の開所式が12月6日千葉市の同センターで行われた。残高確認手続について包括的なプラットフォームサービスを提供し、監査人の事務負担軽減を図る。将来的には、準大手・中小監査法人への利用、内部監査目的と言った様々な分野での利用拡大を目指す。
→効率化・共通化出来るところはどんどん集約していくことには賛成です。働き方改革や、リソース(人員)の適切な配分を推し進めるためには、業界全体での改革が不可欠になってきます。その中でこのような法人の垣根を越えたプラットフォーム作りは画期的だと思います。ただ、やはり以下のような懸念も持っています。(1)導入初期は事務的なミスをはじめ様々なトラブル発生の恐れ。(2)従来の手続を監査チームで行わなくなることによるスタッフ(特に低年次)へのOJT機会の減少。
(1)に関しては仕方ない部分もあると思われます。したがって、クライアントへの丁寧なコミュニケーションが必要だなと感じる次第です。また、(2)については、上位者も運用は初めてな訳ですから、OJTの方法・時間を見直して、双方にとって効果的な方法を模索していかなければならないですね。。。
【現行の制度開示への取り組みと一体開示についてーアンケート集計結果・傾向分析】
各企業での開示書類作成の実務状況に関するアンケート結果と前回調査(2016年1月~2月)から傾向分析。結果概要は以下の通り。
(1)スケジュールの観点から最も負担になっている開示
会社法の開示書類や、有価証券報告書の回答割合が増加。決算短信・四半期決算短信作成要領等の改正後、速報性を重視した決算短信の簡素化が進んでいることが覗える。また、IFRS任意適用会社の増加により、有価証券報告書の回答割合が増加傾向にある。
決算短信:27%(前回は36%)、会社法開示書類:42%(51%)、有価証券報告書:30%(13%)。
(2)法定開示書類の一体化について
コーポレートガバナンス・コードにおいて求められる株主への適確な情報提供や、株主総会日程の適切な設定に必要な方策として一番多く挙げられたのは、法定開示書類の一体化であった(72%、複数回答)。諸外国においては、決算日から株主総会開催日までの期間が我が国より長く、また、比較的自由な様式での業績速報の公表や、法定開示書類の一本化がなされていることが多い。一体開示を行うとした場合の開示期間としては、決算日後70日程度とした回答が最も多かった(32%)。その他の回答は、決算日後60日程度:11%、決算日後80日程度:29%、決算日後90日程度:25%。連結子会社が大きい会社ほど時間を長く要請する傾向にあった。なお、第1四半期決算作業との重複や、役員の選解任、配当支払の時期、社内調整等を考慮すると株主総会日程の後ろ倒しは現実的には難しいとする意見も多く上がっている。
→開示書類の一体化実現されませんかね(有価証券報告書への一本化がいいな)。。。
ただ、その場合株主総会に際して提出される開示書類に対する監査人の監査が行われていない状況が起こりうるので難しいか。。結局、監査人サイドからすれば、株主総会の後ろ倒しの可否が繁忙期改革のネックになるんでしょうね。