kyanonsanのブログ

若手会計士として日々の中で学んだこと等を記録するためのブログ

経営財務 No.3434 2019.11.25号 メモ

 

【目次】

・2019年3月期有報の訂正報告書を152社が提出、訂正事項の4割超が「経理の状況」

監査役監査役(会)の独立性充実に向けた提言

JICPA 「監査の現場力の強化」に向け、具体的な検討へ

 

【2019年3月期有報の訂正報告書を152社が提出、訂正事項の4割超が「経理の状況」】

 2019年3月期有価証券報告書を提出した上場会社2,409社のうち、当該報告書に対する訂正報告書を提出した会社が152社(6.3%)あった。訂正理由別に分けると①「記載事項の一部に訂正すべき事項がある」が75.9%、②「書類の添付漏れ」が24.1%。①に関して訂正事項は全322件あり、「経理の状況」が135件、「提出会社の状況」が83件と両社で約70%を占めている。

⇒直近3か年で、105社(4.3%)、133社(5.5%)、152社(6.3%)とやや増加傾向にあるそうです。チェックする側として、ケアレスミスを見逃すことがないよう、改めて緊張感を持たないといけないと感じます。特に有報チェックは繁忙期を乗り越えた余韻に浸って気が緩んでしまいそうになるので。。。

 

監査役監査役(会)の独立性充実に向けた提言】

 日本監査役協会が11月15日、「監査役の選任及び報酬等の決定プロセスについてー実務実態からうかがえる独立性確保に向けた課題と提言」を公表。執行側からの独立性を充実させるため、監査役(会)による候補者の提案や、株主総会に提出する監査役の選任に関する議案の決定権の監査役(会)への付与等を提言している。

 同協会が監査役(会)設置会社5,851社を対象としたアンケートを実施し、うち2,447社が回答。現状、監査役候補者の選任・決定プロセスについては、社内監査役・社外監査役候補者ともに執行側が最初に候補者を提案するケースが多い(前者については82.0%、後者については78.4%)。報酬については、株主総会で報酬総額が決議されている会社が82.1%と多数を占め、総会議案について執行側主導で議案提案が決定されていることがうかがえる結果となっている。また、それぞれのトピックについて「現状で問題ない」との回答が選任については79.9%、報酬については73.5%と高い割合を示した。一方で、自由記述欄で執行側からの独立性について問題を提起する回答も多数見られたとのこと。

 上記アンケート結果を踏まえて、同提言では会社法改正等を見据えた提言を提示。まず、現行法の下での対応可能な工夫として、

監査役(会)による候補者の提案

②任意の委員会による候補者及び報酬額の提案

監査役(会)主導による報酬原案の策定

が挙げられ、法改正等を見据えた提言として

株主総会に提出する監査役の選任に関する議案の決定権を監査役(会)に付与

②子会社監査役の選任に関する親会社監査役(会)の積極的な関与

株主総会に提出する監査役の報酬額の議案の決定権限を監査役に付与

を挙げている。

⇒記事や提言でも言及されていますが、"仏作って魂入れず"とならないための各監査役等の覚悟が求められていますね。特に社内プロパーで就任した内部監査役については、単なるポジションの変更に留まらないという点をどのように実務に落とし込んでいくのかが難しい論点だと感じます。会計監査人としても監査役とどのように連携・コミュニケーションをとっていくのかという論点の重要性が高まっていると実感している次第です。

 

JICPA 「監査の現場力の強化」に向け、具体的な検討へ】

 日本公認会計士協会が11月19日に記者会見を開き、今後の施策について説明。日本公認会計士協会の重要課題として挙げられたのは下記6点。

①会計監査のあり方改革

 非監査業務やKAMへの対応と併せて、「現場力の強化」を最重要視する方針。

会計基準及び監査の基準設定との関わり

 あるべき基準の議論に加わり、基準設定主体に対して積極的な関与を図る。

③企業情報の開示の変革への適応

 制度開示の変革に適応していくという中長期的対応。

④企業活動の変化及び技術革新への適応

 グローバル化、AIの発展に伴い会計士が備えるべき資質が変化している。

公認会計士業務に対する社会からのニーズの充足

 医療法人、社会福祉法人などへの監査導入など、公認会計士監査を通じた信頼担保措置としての役割への対応。中小企業の事業承継等の地域創生への取り組みへの関与。

⑥急速な会員数の増加と会員の多様化への適応

 現在の公認会計士登録数は約32,000人と2000年の約2.3倍。監査法人以外で活躍する会員が過半を占めている中、JICPAの指導監督のありも変化させていく必要がある。

 その他、ファームローテーションへの慎重な姿勢を見せた。

 

⇒②以外は大きくくくると会計士を取り巻く環境変化にどう対応していくのかというテーマだと思います。会計士だけでなく、あらゆる業界に当てはまる重要課題です。一個人としても今後どのように立ち回っていきたいのかということに真剣に向き合っていかないといけないですね。

 別の記事でPwCあらたがAI監査の実現に向けた取り組みを説明したことが記事になっていました。門外漢なのでAIが!、ブロックチェーンが!と連呼するようなことはしたくないですが、身の回りでは、今までやってきた作業の延長線上での議論や、AIの定義が定まってなくないですか、、、?という印象が強いです。もっと根本的な変動が起こる気がするので、この辺りのトピックスに対する知見を深めていかなくてはいけないと思いつつ、なかなか手を付けられていないです(苦笑)。